クモ糸人工合成に向けて
スパイバーの画期的なアプローチ
スパイバーでは、夢の繊維素材であるクモ糸を実用化するため、バイオテクノロジーと紡糸技術に加え、研究を進める上で得られる膨大なパラメータ(培養条件、精製条件、紡糸条件、最終的な繊維の物性等)、さらに、アミノ酸配列情報と遺伝子配列情報を含めた全情報をデータベース化し、分子デザインにフィードバックすることが重要だと考えました。性能と生産性を両立する分子デザインを目指し、これらの解析を行なうデータベースシステム及びバイオインフォマティクス環境、最先端のバイオテクノロジーの研究環境、そして紡糸検討設備のほぼ全てを独自に開発し、全ての工程を社内で完結できる研究開発体制を整えました。この超分野横断的研究体制は、大学の研究室では困難であり、スパイバーの研究開発スピードの根源となっています。夢の繊維といわれたクモ糸の実用化は、もうすぐそこまで来ています。
人工遺伝子のデザインと合成技術
人工合成技術を前進させるためには、どのようなアミノ酸配列の遺伝子でも、ハイスループットにDNA合成が行なえることが重要です。しかし、クモ糸のアミノ酸配列は繰り返し配列が極めて多く、既存手法では人工合成が困難でした。スパイバーでは、この課題の解決にいち早く取り組み、どのようなフィブロイン遺伝子でも最短5営業日で合成が完了する独自の遺伝子合成技術を確立しました。本技術を用いて、既に100種類近くの人工クモ糸遺伝子を合成し、ライブラリー化しています。
遺伝子工学と発酵技術
データベースに蓄積された過去のデータをもとに性能や生産性をデザインされた候補分子は、その遺伝子を合成したのち、微生物を用いた独自のタンパク質発現システムで試験的に生産します。フィブロイン遺伝子を導入された微生物は、クモ糸成分であるフィブロインの生産能力を獲得します。その後、小スケールで発酵生産条件、精製条件の検討を行い、遺伝子合成から最短10営業日で紡糸条件の検討に移ります。その後、必要に応じて培養のスケールアップを行い、タンパク質原料の取得を行ないます。
紡糸技術、世界初の実用化に向けて
発酵工程で生産された繊維の原料であるフィブロインは、精製工程を経て独自の紡糸技術で繊維化されます。創出された人工合成クモ糸繊維の特性は詳細に解析され、データベースにフィードバック、次の分子デザインに活かされます。スパイバーでは、紡糸技術(湿式、乾湿式、エレクトロスピニング)をゼロから自社開発し、天然クモ糸に匹敵するタフネスを達成することに成功しました(10件以上の関連特許を出願中)。現在当該繊維を用いたアプリケーション開発用の製造設備のプロトタイプが完成し、2012年中旬より大手メーカーと共同で本格的なアプリケーション開発を開始します。
コラボレーション
スパイバーでは、慶應義塾大学先端生命科学研究所、信州大学繊維学部、鶴岡高等工業専門学校、大手メーカー等とのコラボレーションを積極的に進め、日本発・世界初の実用化を目指しています。